構造用アンカーボルトの基本と「ABR/ABM」の違い
〜柱脚・基礎まわりの設計・施工で迷わない選定ガイド〜
建築物の基礎や柱脚に必ず用いられる 構造用アンカーボルト。
設計・施工の現場では「ABM と ABR のどちらを選ぶべきか?」といった疑問がよく出ます。
今回は、JIS規格に基づく両者の違い、特性と使い分けを、
「構造性能」「加工方法」「施工性」「実務での選定ポイント」という視点から解説します。
Contents
アンカーボルトとは?
アンカーボルトは、コンクリート基礎に鋼構造体の柱脚や設備金物を確実に固定し、荷重を伝達する重要部材です。
一般に基礎に埋め込まれ、柱脚プレートと緊結することで引張・せん断・地震時の応力に耐えます。
構造用アンカーボルトはJIS B 1220に規定された「構造用両ねじアンカーボルトセット」で、
・ アンカーボルト本体
・ ナット×4
・ 丸座金×1
をひと組みとして供給されます。
→ JIS B 1220の詳しい内容については、コチラ
ABRとABM-加工方法の違い
✔︎ 加工方法の違い
構造用アンカーボルトで最も大きな違いは“ねじの加工方法”
| 種別 | ねじの形状 | 加工方法 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ABR | 並目ねじ | 転造加工 | 軸部とねじ部断面差が小さく、靭性に優れる |
| ABM | 細目ねじ | 切削加工 | ねじ山は切削により形成。軸径が太く断面積が大きい |
転造(Roll)ねじは、素材を圧力で押し広げながら山谷形状を形成します(塑性変形)。
切削(Machine)ねじは素材を削って形状を作ります。
✔︎ 強度の違い
加工方法の差は、結果としてねじ部の強度の違いに影響します。
・ ABR(転造ねじ)
転造加工は、素材を削らずに圧力をかけてねじ山を作るため、ねじ部の強度が高く表面も滑らかで、なおかつ切り屑が出ずロスも少ない。
→ 破断までの伸びが大きく、塑性変形能力(靱性:粘り強さ)が高いとされるため、信頼性が求められる場合に利用されます
・ ABM(切削ねじ)
切削加工は、加工性に優れるため、太径(M48以上)のアンカーボルトで多く採用される。ABR(転造ねじ)に比べて、ねじ部の強度に劣る(伸び能力が低く、破断リスクが高い)ため、細目ねじを採用し有効断面積(Ae)の軸部断面積(Ag)に対する比率を並目ねじより大きくすることでアンカーボルトの伸び性能を確保している。
→ せん断耐力や剛性(伸びにくさ)を重視する条件で有利なケースがあります。
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