ねじのトラブル対策Q&A
第3回|ねじの強さと剛性
Q1.ねじの「強さ」とは、何を指しているのですか?(強度区分10.9を追加)
強さは主に「破断しにくさ」です。代表例として強度区分10.9は、高強度ボルトでよく使われ、引張強さが高いグレードです。ただし強い=万能ではなく、使い方と締結条件が前提になります。
Q2.「ねじの剛性」とは何が違うのでしょうか?(式で補足)
剛性は「伸びにくさ」で、材料のヤング率Eと形状で決まります。基本は k(剛性)=AE/L(A:断面積、L:長さ)。同じ材料でも太く短いほど剛性は上がります。剛性が大きい(硬い)ほど、同じ軸力で変形しにくく(伸び縮みが小さく)、軸力と変形量の比(ばね定数)が大きくなります(フックの法則)。
Q3.強いねじを使えば、安心と言えるのでしょうか?
必ずしもそうとは限りません。強度が高くても、剛性の大きさが適切でないと、締結体全体としては不安定になる場合があります。ねじ単体ではなく、締結された状態で考えることが重要です。
Q4.ねじの剛性は、何によって決まるのですか?(疲労強度・非回転ゆるみを追加)
剛性はボルトだけでなく、被締結体も含めた「締結体全体」で決まります。剛性バランスが悪いと、荷重変動がボルトに集中し疲労強度が下がることがあります。また振動で座面がすべると、ねじ部品が回転しなくても軸力が落ちる非回転ゆるみが起き得ます。
Q5.設計や現場では、強さと剛性をどう考えればよいですか?(ねじ山分担率を追加)
破断しない(強さ)だけでなく、軸力が安定する(剛性)視点が必要です。さらに、ねじ山には荷重が均等にかからず、最初の数山に偏るねじ山荷重分担率の影響もあります。強度・剛性・分担率をセットで見ると、トラブル原因が整理しやすくなります。
第一ボールト(仲介人)からの一言
私たちが受ける相談では、「強度計算は問題ないのに、なぜかゆるむ」というケースが少なくありません。その多くは、強さだけを見て、剛性まで十分に考えられていない場合です。締結体全体を一緒に整理することで、原因が見えてくることがあります。
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