第8回|軸力のばらつきとその低減
Q1.なぜ、同じトルクで締めても軸力にばらつきが出るのですか?
締付トルクの約90%がねじ面や座面の摩擦によって消費されてしまいます。摩擦条件が少し変わるだけでも軸力は変動するため、同じトルクで締めても軸力は一定になりません。
Q2.軸力のばらつきは、どの程度発生するものなのでしょうか?
一般的なトルク法では、同じトルクで締め付けても軸力が±20〜30%程度ばらつくこともあります。摩擦係数の違いが主な原因であり、締付条件によってはさらに大きな差が生じる場合もあります。
Q3.軸力のばらつきを小さくする方法はありますか?
潤滑剤の使用や表面処理の統一により、摩擦係数を安定させることが有効です。また、回転角法や油圧テンショナなど、軸力をより正確に管理できる方法を採用するケースもあります。
Q4.座金は軸力のばらつき低減に役立つのでしょうか?
ボルト・ナットと同じ表面処理を施した平座金を使用すると、座面の接触状態が安定するので、摩擦条件のばらつきを抑えやすくなります。軸力のばらつきが平均して10%程度に抑えられることがわかっています。
Q5.設計や現場では、軸力のばらつきをどう考えればよいのでしょうか?
軸力のばらつきをゼロにすることは困難です。摩擦係数のばらつき以外に軸力がばらつく原因として、ナット座面/ボルト頭部座面の平面度があります。これらの座面の形状は被締結体表面に密着する「完全な平面」が基本ですが、JIS規格の許容範囲でナット座面はわずかに内向き、ボルト頭部座面は外向きのテーパ形状となっている場合があります。テーパ角度が大きい場合、摩擦係数が同じでも、ナット側にトルクを与える場合は最大マイナス10%程度、ボルト頭部側から締め付ける場合は最大プラス10%程度軸力がばらつく可能性があるので注意が必要です。
第一ボールト(仲介人)からの一言
「規定トルクで締めたのに結果がそろわない」ことはよくありますが、実際には、ボルト・ナットの品質だけでなく、潤滑状態や座面の状態など、さまざまな要因が影響しています。重要なのは、ばらつきがある前提で設計し、必要な締結性能を確保することです。過度な期待ではなく、適切な管理が求められます。
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