ねじのトラブル対策Q&A

第4回|ねじと摩擦

Q1.ねじの締結において、ねじと摩擦の関係を教えてください?

ねじの締結において、摩擦が問題となるのは、おねじとめねじが接触している「ねじ面」、ナット座面とボルト頭部座面、さらに締結された状態の「被締結体界面」です。トルクレンチでねじを締め付けるとき、緩めるとき、あるいは緩み現象で主に問題となるのはナットが回転する円周方向に存在する摩擦係数です。荷重が摩擦力(面に作用する垂直力と摩擦係数の積)を超えるとすべりが発生し、締結部に様々な問題を引き起こすため、表面に凹凸を作るなどして意図的に摩擦係数を高くすることがあります。

Q2.締付トルクと軸力は、なぜ比例しないのですか?

締付トルクは、摩擦の影響を大きく受けます。摩擦係数が少し変わるだけで、同じトルクでも得られる軸力は大きく変動します。そのため、トルク管理=軸力管理とは限りません。

Q3.摩擦係数は、どのような要因で変わるのですか?

摩擦係数は、表面粗さ、表面処理、潤滑の有無、締付速度などで変わります。同じ材料・同じねじでも、状態が違えば摩擦係数は一定になりません。このばらつきが、軸力のばらつきにつながります。ねじの締め付けでは、「摩擦係数が小さく、同時にばらつきも小さい」ことが理想的です。ただし、これらを同時に満足するのはかなり難しいと言えます。

Q4.摩擦が原因で、どのようなトラブルが起こりますか?

摩擦が想定と違うと、軸力不足や過大締付が起こりやすくなります。また、座面でのすべりが生じると、ねじが回らなくても軸力が低下する「非回転ゆるみ」につながる場合もあります。

Q5.設計や現場では、摩擦をどう扱えばよいのでしょうか?

摩擦を完全にコントロールすることは困難です。たとえば、人力で大きなねじを締める場合、腕力のある作業者がゆっくり一定速度でナットを回す場合と、腕力のない作業者が全身を使って一気に締める場合、接触面のすべり速度の違いなどで摩擦係数の値が変化する可能性があります。

第一ボールト(仲介人)からの一言

「規定トルクで締めているのに不安が残る」という相談は少なくありません。その多くは、摩擦条件が設計時と現場で一致していないケースです。ねじそのものではなく、表面状態や締付条件を一緒に確認することで、安心につながることがあります。