第6回|トルク法を見直す
Q1.「トルク係数K」とは、どのような値なのですか?
トルク係数Kは、締付トルクと軸力の関係を表す値です。ねじ部や座面の摩擦状態によって変化し、同じトルクでもK値が違えば、得られる軸力は大きく変わります。トルク係数としては0.2という数値がよく使われます。
Q2.トルク係数は、なぜ一定にならないのですか?
トルク係数は、摩擦係数の影響を強く受けます。表面処理、潤滑状態、締付速度などで変化するため、同じねじでも常に一定とは限りません。このばらつきが、軸力のばらつきにつながります。
Q3.並目ねじと細目ねじでは、トルク係数も変わるのですか?
並目ねじと細目ねじでは、ねじ山角度や摩擦条件が異なるため、トルク係数にも差が出ます。特に細目ねじはリード角が小さいため、同じ摩擦係数であればトルク係数も小さくなります。
Q4.点検のために緩めたねじを最初と同じトルクで締め付けたところ、軸力不足となりました。原因は何でしょうか?
「締め付けトルクは同じでも、軸力の大きさは摩擦係数によって変わる」ためです。上記の通り、トルク係数は摩擦係数の関数で表されます。摩擦係数が2倍になれば、同じトルクで締め付けても軸力は目標値の約半分まで落ちてしまいます。(得られる軸力は摩擦係数に反比例する)
トルク法は、比較的簡単に締付管理ができるため、現在も広く使われており、便利な方法ですが、摩擦条件によるばらつきを前提に考える必要があります。数値だけを信頼するのではなく、「どんな条件で締めるか」を整理することが、安定した締結につながります。
第一ボールト(仲介人)からの一言
ねじは締め付けるときより、小さな力で緩められる気がしますよね。その通りです。ねじを締め付けると、おねじはらせんに沿ってねじ面を登り、それによって軸力が発生します。一方、ねじを緩める場合は斜面を下ることになるので、通常は緩めトルクは締め付けトルクより小さくなります。例えば、摩擦係数が0.1から0.2程度であれば、締め付けトルクの7割から8割程度のトルクで緩めることができます。もし緩めトルクが大きすぎると感じた場合は、”ねじの焼き付き”を疑ってみるといいでしょう。
私たちのもとには、「規定トルク通りなのに、締結状態にばらつきがある」という相談が寄せられます。その多くは、ねじそのものではなく、潤滑状態や表面処理など、摩擦条件の違いが影響しています。トルク値だけでなく、締付条件全体を整理することが安心につながります。
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