ねじのトラブル対策Q&A
第9回|ねじの静的強度と疲労強度
Q1.ねじの「静的強度」とは何ですか?
静的強度とは、変動のない一定の荷重が加わったときに、ねじがどこまで耐えられるかを示す強度です。ねじの場合、主に締め付けたときの強度が対象となります。一般的な強度区分(8.8や10.9など)は、この静的強度を基準に定められています。
Q2.疲労強度と、静的強度は何が違うのですか?
疲労強度は、小さな荷重でも繰り返し作用することで発生する破壊に対する強さです。静的強度が十分でも、繰返し荷重によって疲労破壊が起こる場合があります。
Q3.疲労破壊は、どこから発生しやすいのでしょうか?
疲労破壊は、応力が集中する部分から発生しやすくなります。一般に、最大応力はナット座面に一番近いボルトのねじ谷底で発生します。これ以外にねじの切り上げ部とボルト頭部の首下丸み部分の応力も高くなるので、それらの部分の加工精度や材料欠陥にも注意が必要です。
Q4.高強度ボルトを使えば、疲労にも強くなるのでしょうか?
必ずしもそうとは限りません。高強度ボルトは、静的強度は優れていますが、疲労強度は必ずしも静的強度に比例して上昇せず、形状や応力集中の影響も大きく受けます。例えば、高強度ボルトを使用して強度の低い材料を締結するとき、座面の陥没による塑性変形が時間とともに進行して軸力が低下し、疲労強度が低下する場合があります。
第一ボールト(仲介人)からの一言
「ボルトが突然折れた」というクレームが寄せられますが、実際には、“突然”ではなく、長期間にわたって疲労が蓄積していたケースが少なくありません。ボルトの材質や強度だけでなく、適切な締付けによって十分な軸力を確保し、ボルトに繰返し荷重が直接作用しにくい状態をつくることが重要です。また、応力集中を減らす設計や適切な締結管理も有効です。
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