ねじのトラブル対策Q&A
第10回|ねじの疲労強度と締付け力
Q1.高強度の材料を使えば、ねじの疲労強度も高くなるのでしょうか?
必ずしも比例して高くなるわけではありません。材料の引張強さを高めれば静的強度は向上しますが、ねじの疲労強度は、ねじ谷底の応力集中などの影響を大きく受けます。「高強度材=疲労にも強い」とは限らない点が重要です。
Q2.ねじの疲労強度を考えるとき、何に注意すればよいですか?
材料強度だけでなく、ねじの形状や寸法、応力集中、締付け状態などを合わせて考える必要があります。特にねじ谷底は応力が集中しやすいため、材料を高強度化するだけでは十分な疲労対策にならない場合があります。
Q3.締付け力(初期軸力)は、疲労強度にどのような影響を与えますか?
適切な初期軸力を与えると、外力の多くを被締結体側で受けられるため、ボルトに加わる軸力の変動を小さくできます。つまり、しっかり締めることには、部材を固定するだけでなく、ボルトの疲労を抑える役割もあります。
Q4.ボルトに曲げが加わると、なぜ疲労破壊しやすくなるのですか?
締結部にすき間や片当たりがあると、ボルトには軸方向の力だけでなく曲げも作用します。すると一部に大きな応力が繰り返し発生し、疲労破壊の原因になります。ボルトをできるだけ真っすぐ締結することが大切です。
Q5.疲労破壊を防ぐには、「強いボルト」を選べばよいのでしょうか?
ボルト単体の強度だけでは十分ではありません。ねじ部品の塑性変形や座面陥没などの問題がなければ、ボルト軸力を高くすると疲労強度は上がります。締結部の形状を工夫することによって疲労強度を改善することも可能です。被締結体の形状を変更するのは大変ですが、設計上許されるのであれば、ボルトの取り付け位置を工夫することにより、作用する曲げモーメントを下げて応力振幅を抑えることができます。
第一ボールト(仲介人)からの一言
ボルトが折れると、まず「もっと強いボルトに替えよう」と考えがちです。しかし、疲労破壊では、それだけでは解決しないことがあります。私たちはボルトの強度だけでなく、締付け状態や外力のかかり方、被締結体まで含めて状況を整理します。
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