ねじのトラブル対策Q&A
第11回|高温・低温環境でのねじ締結
Q1.温度が変化すると、ボルトの軸力も変わるのでしょうか?
変わることがあります。金属は温度が上がると伸び、下がると縮みます。ねじ締結部の温度が初期状態から変化すると軸力が低下することもありますが、上昇することもあります。温度変化の大きな環境では注意が必要です。
Q2.ボルトと被締結体の材質が違う場合、何に注意すればよいですか?
重要なのは、両者の線膨張係数の差です。異なる材料を組み合わせると、温度変化によって軸力が大きく変化することがあります。例えば加熱時にボルトより被締結体の方が大きく伸びれば、ボルト軸力が増加する場合があります。高温・低温環境では、強度だけでなく材料の組み合わせも重要です。
Q3.ステンレス鋼のボルトを高温環境で使う場合、注意点はありますか?
ステンレス鋼は熱伝導率が炭素鋼の約1/3、反対に線膨張係数が約1.5倍大きいという独特の熱特性を持っています。熱伝導率が小さいと、熱が流れにくいために温度勾配が大きくなり、締結部に大きな熱応力が発生します。ステンレス鋼製のボルトと炭素鋼製の被締結体の組み合わせの場合、ステンレス鋼は炭素鋼の約1.5倍伸びるので、軸力が大きく低下することがあります。ステンレス鋼は耐食性に優れますが「錆びにくい」という理由だけで選ばないことが大切です。
Q4.被締結体の大きさや形状も、温度変化による軸力に影響しますか?
影響します。被締結体が大きいほど、温度変化による伸び縮みの量も大きくなります。また、形状や材料の組み合わせによって熱膨張の仕方も変わるため、ボルトだけでなく締結体全体で考える必要があります。
第一ボールト(仲介人)からの一言
「高温だから耐熱性の高いボルトを」と考えがちですが、実際の締結ではボルトだけを見ても十分ではありません。私たちは、相手材は何か、どのくらい温度が変化するのか、どのように締結されているのかまで確認します。材料を選ぶだけでなく、その組み合わせを考えることが大切です。
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