【実績事例】「高強度×高耐食」を両立した課題解決

Contents

    1. インフラの「長寿命化」という大きな課題
    2. 今回の事例:離島のつり橋のクランプを支えるボルト選定
    3. 直面した3つの課題
    4. 長期的な安全性を高める解決策
    5. 次世代へつながる安心を

インフラの「長寿命化」という大きな課題

現代の日本社会において、道路や橋梁といった社会インフラの老朽化は深刻な課題となっています。限られた予算と人手の中で、いかに構造物の寿命を延ばし、安全に維持管理していくかが今、強く求められています。

インフラの長寿命化を確実なものにするためには、構造物を繋ぐボルトやナットの段階から高い耐久性と信頼性を追求する必要があります。

 

今回の事例:離島のつり橋のクランプを支えるボルト選定

今回ご紹介するのは、ある離島に架かるつり橋の補修工事における解決事例です。

 

その橋では、全体を支えるワイヤーケーブルを固定するために「クランプ」と呼ばれる金属金具が使われています。 海に囲まれた離島ならではの厳しい塩害から構造を守り、将来の補修コストを抑えるため、クランプ自体は非常に頑丈な仕様で設計が進められていました。

 

ですが、その特殊なクランプを固定するための「最適なボルトが見つからない」というご相談をいただきました。

 

本記事では、この難題に対して当社のノウハウでどのように課題を克服し、最適な締結ソリューションをご提案したのかをご紹介します。

 

           

直面した3つの課題

課題①:必要なボルトが「規格外の長さ」

当初は強固な締結のために、摩擦接合用の高力ボルトが想定されていました。ボルトの選定は後回しになりがちですが、今回の特殊なクランプ形状に対しては、構造上、既製サイズのボルトでは長さが足りませんでした。特注しようにも、納期の壁が立ちはだかりました。

 

課題②:激しい塩害と「水素脆性(破断)」のリスク

激しい塩害でも耐えられるような強力な防錆(めっき)が必要でしたが、高強度のボルトにめっき処理を行うと、製造過程で金属内部に水素が入り込み、ボルトが突然破断するリスクが高まります(水素脆性破壊)。
本島とをつなぐ唯一のつり橋であるため、突発的な破断や頻繁なメンテナンスが生じるリスクを最小限に抑え、将来にわたって長く安定して使い続けられる構造を目指す必要がありました。

 

課題③:つり橋特有の微振動による「緩み」の不安

当初は一般的なダブルナットによる締結を想定されていましたが、つり橋特有の絶え間ない風や通行に伴う微振動によって、徐々に緩みが生じてしまう懸念がありました。構造物の安全性を長期的に確保するためには、こうした振動による緩みリスクを極限まで減らす必要がありました。

 

長期的な安全性を高める解決策

解決策①:流通品ベースで実現した特殊仕様の設計

設計段階からボルトメーカーと密に連携し、標準流通品の形状・規格をベースにした高強度ボルトを設計。ゼロからの完全特注を避けることで、厳しい納期への対応を実現しました。しながら、前例のない挑戦ゆえに、強度面への懸念がありました。基準を満たしているかどうかを証明するため、複数の試験を行い、各種試験結果とともに納品しました。

 

解決策②:確実な品質を担保するためのリスクヘッジと各種検査

水素脆性を防ぐため、めっき前の脱脂洗浄工程を見直しました。薬品に浸す一般的な「酸洗い」ではなく、細かな金属の粒を吹き付けて錆や汚れを削り落とす「ショットブラスト」を採用することで、水素の侵入を低減。高い防錆力を実現させました。
また、めっき処理によりボルトの強度や硬度が維持できているかどうかを確認するべく、めっき処理後にも検査を行い、変化がないことを確認しました。

 

解決策③:高い緩み止め効果を持つナットへの変更提案

一般的なダブルナットでの締結から、偏心構造によるクサビの原理を応用した強力な緩み止めナット「ハードロックナット」への変更をご提案しました。ナット同士が互いを径方向に強力に押し付け合って構造体を物理的にロックするため、激しい連続振動環境下でも締め付け力を長期にわたり維持できます。

次世代へつながる安心を

今回の事例では、特殊な構造による「ボルトの長さ不足」をはじめ、厳しい環境に置かれるつり橋ならではの「錆び」や「緩み」という三つの課題がありました。
当社はそれぞれの問題を一つずつ確認しながら、特注ボルトの製造や防錆処理の見直し、緩みにくいナットの提案等、複数の対策を組み合わせる事で現場に適した締結方法を整え、長く安心して使い続けられる環境を確保しました。

 

「ボルト一つ、ナット一つ」の妥協なき選定が、離島の重要なライフラインであるつり橋をこれから先何十年と支え続ける基盤となります。

当社はこれからも、インフラ長寿命化という社会的課題に対し、現場の細かなニーズに寄り添った最適な締結ソリューションをご提案してまいります。

 

【インフラ補修・特殊ボルトのご相談はこちら】
「規格にない特殊なボルトが必要」「防食・緩み止め対策を見直したい」など、設計段階からのご相談も承っております。まずはお気軽にお問い合わせください。

 

 

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